窓から差し込む茜色の日差しに照らされた室内に、カリカリとペンを走らせる乾いた音が響き渡る。
あと少し……この術式を書ききって、線を繋げば……──。
「……出来たっ! 完成っ」
私、ルシェは思わずそう声に出してそう呟きつつ、手に持っていたペンを机に置いて伸びをする。
複雑な術式や記号のようなものが描かれた円形状の紋様──通称、魔法陣が描かれた一枚の紙を前に、私は...
2024-01-23 11:00:00 +0000 UTC
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「う~ん……っ! 結構良い時間だし、そろそろ寝ようか」
壁に掛かった時計を見てそう言うエスラの言葉に、アイルも軽く伸びをしながら「そうだねぇ」と答えた。
夕食も入浴も終えた二人は、エスラの自室にて談笑しつつ夜が更けるまでの穏やかな時間を過ごしていた。
しかし……と、アイルはポリポリと自身の頬を掻いて「でもさ」と口を開いた。
「なんか珍しいね、ルシェが全然混ざって...
2024-01-23 11:00:00 +0000 UTC
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<ルシェ視点>
未知とは恐怖だと、誰かが言った。
私にとっての未知……それは、“孤独”だと思う。
生まれた時から、私の人生には常に誰かが居てくれた。
優しいお母さんと、しっかり者のお父さん。
そして、カッコいいけどちょっぴりおっちょこちょいな所もあるお姉ちゃん。
家を出ればお姉ちゃんの友達のアイルさんがいて、少しして村にユイちゃんが来た。
大好きな人達に囲ま...
2024-01-07 09:00:00 +0000 UTC
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「盲目な恋に堕とされて」のもしかしたらあったかもしれない二次創作です。
もう少しだけ続きます。
後編はまた後日投稿します。
※※※
魔族領王都にて聳え立つ魔王城。
その最上階にある玉座の間にて、この城の主であり魔族を束ねる長でもある魔王ナーリスは、玉座に腰掛けて頬杖をつきながら小さく溜息をついた。
「……新たな勇者の誕生、ねぇ……」
数刻前、人族領の調査から戻って...
2024-01-04 11:00:00 +0000 UTC
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「魅了の瞳(チャーム・アイ)♡」
そんな私に、ナーリスはもう一度魅了の魔眼を使ってくる。
今度こそ確実に真正面からその光を受け止めてしまった私の意識は、そのまま奴の瞳に宿った桃色の光へと、吸い込まれていって……──。
「……フフッ。ざっとこんなものかしら。まさか魔眼が解けるなんて、勇者とは言えど、人間にしては中々……──」
「うッ……うぅぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぁぁぁあ...
2023-12-13 11:23:28 +0000 UTC
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「うおおおおおおッ!」
茶髪の筋肉質な男が決死の形相で大声を張り上げ、両手に握った剣を振り下ろしてくる。
私、エスラは体を軽く横に倒す形でその剣撃を躱すと、すぐさま片手に握った剣を振るって男の首を刎ねた。
……最悪。血がついた。
私は頭部の消えた男の体を遠くに蹴り飛ばしつつ、顔に付いた血液を服の袖でグイッと拭い取って周囲に視線を向ける。
すると、地面に座り込ん...
2023-12-13 11:21:58 +0000 UTC
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「ついに追い詰めたぞッ! 魔王ッ!」
魔王城の最上階にある玉座の間にて、クセ毛のある金髪をショートヘアにした少女、エスラはそう高らかに言い放つと、片手に持った剣を玉座に佇む部屋の主へと向ける。
彼女の言葉に、この部屋──否、この城の主であり魔族を束ねる長である通称魔王ことナーリスは、クスリと小さく笑みを浮かべた。
魔族特有の青肌に毒々しい紫色の長髪、髪と同色の切...
2023-12-03 11:00:00 +0000 UTC
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「だから……命令♡ どんな手を使っても良いから、その剣士ちゃんも私のモノになってくれるように、優しく“説得”してあげて頂戴? 剣士ちゃんを堕とせた子には、たくさんご褒美あげるからっ♡」
「はい♡」
「かしこまりました、ナーリス様♡」
「全てはナーリス様の仰せのままに♡」
「なッ、皆、何を言って──ひゃぁッ!?」
口々に了承を示す三人の甘ったるい声に反論しようとしたのも...
2023-12-03 11:00:00 +0000 UTC
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『色彩は艶やかに染められて』の続編です。
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金曜日の昼下がり。
午後一番の講義を受ける為に階段教室を訪れた僕、新見 晃は、いつも通り窓際の一番後ろの席に腰掛けると、背負っていたリュックサックを隣の席に下ろした。
今日は朝から講義があり、昼食後ということもあってか大分疲労感が溜まっているのを感じる。
と言っても、これが今日受ける最後の講義だし、もうひと踏ん張...
2023-11-17 15:53:17 +0000 UTC
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---半年前---
「お隣失礼しま~す」
ある日の講義開始前。いつものように窓際後ろの席に座って講義の始まりを待っていた時、突然そんな軽い調子の声と共に隣の席に置いてあったリュックサックがひょいと持ち上げられ、誰かが腰かけてきた。
突然のことに驚いて顔を上げると、そこには、マスクと眼鏡を掛けた色素の薄い長髪の女性がいた。
いや……は?
「えっ……誰?」
「急にごめ...
2023-11-15 15:01:49 +0000 UTC
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「──……では、撮影は以上で終わりです。お疲れ様でした」
撮影した映像に不備がないか確認すると、撮影監督の方がそう挨拶をしてくれた。
それに、ノゾミが軽く手を挙げて「ありがとうございました~!」と明るく挨拶するので、私とカリンもそれに続けるように「ありがとうございました」と挨拶した。
今日は、朝からスタジオで新曲のMV撮影をしていた。
ダンス映像だったので曲に合わ...
2023-11-12 17:05:22 +0000 UTC
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「──……以上のような流れで撮影を進めていこうと思います。何かご質問はありますか?」
番組の脚本を手に撮影の流れを説明してくれたスタッフさんの言葉に、私、鈴原マナを始めとした番組の出演者は口々に「大丈夫です」と答えた。
今日は週に一度、毎週金曜日の夜19時に動画サイトで公開しているバラエティ番組『ぷりまりるっ』の撮影日だ。
番組の内容としては、私を含めた女子三人で...
2023-11-10 18:35:11 +0000 UTC
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「ッかぁ~! やっと前期終わったぁ~!」
私、神崎日向は、胸に溜まった鬱憤を吐き出すように言いながら、ガンッと音を立てて中身が半分くらいになったチューハイの缶をテーブルに置く。
そんな私を見て、この部屋の主であり小学校低学年の頃からの幼馴染でもある暁月時雨は、チビチビと飲んでいた桃の缶チューハイから口を離してクスッと小さく笑った。
「お疲れ様、日向。今回も大変そ...
2023-10-31 11:00:00 +0000 UTC
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2023-10-25 09:00:00 +0000 UTC
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ある国にて秘密裏に存在する施設では、未解決事件の容疑者や反社会的組織の人間、国や政治の敵対組織に対して情報を聞き出す為の拷問が行われていた。
そんな施設のリーダー的存在でもある敏腕拷問士の女性は、最近入社してきた新人の少女のことが気に掛かっていた。
彼女達拷問士の仕事は、上層部から割り振られた悪党を身体・精神的に痛めつけ、この国に害を及ぼしうる情報を聞き取ること。
し...
2023-07-22 08:37:50 +0000 UTC
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今は昔、この日本という国の辺境にて、人知れず存在する小さな農村があった。
その村では農耕の神である稲荷神を信仰しており、村人たちの生活を支える農作物の実りへの感謝と、未来永劫続く豊作への祈りを奉納品と共に毎日欠かさず捧げ続けてきた。
稲荷神はそんな信仰心の厚い村人達に感心し、日々の奉納品や礼拝への感謝と今後の村の発展への激励を込めて、自身の力の一部を村人達に分...
2023-05-07 13:00:00 +0000 UTC
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「……分かった、降参。私の負けだよ」
そんな中で、オディールは唐突にそんなことを言いながら体を起こした。
突然のことに思わず「へっ?」と声を漏らしていると、彼女は私の体の上に馬乗りになった姿勢のまま、ヒラヒラと両手を軽く振った。
「日没の時間も近いし……まさか、こくおー様がこんなにもオデットちゃんのことを愛してるなんて思わなかったから、ビックリしちゃったよ」
淡...
2023-04-15 13:00:00 +0000 UTC
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「君は、一体……何者なんだ……?」
自分が置かれている状況もまともに理解できず身動きも取れない中、仰向けに横たわった私の口から掠れた声で紡がれたのは、そんな疑問の言葉だった。
今私達がいる場所はどこなのか。舞踏会で私に何をしたのか。何が目的でこんなことをしているのか。
他にも知りたい情報は山ほどあった。
しかし、今私が最も早急に知らなければならない情報はコレだ...
2023-04-14 13:00:00 +0000 UTC
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豊かな緑に囲まれた、とある王国の王宮前庭。
そこではこの国の次期国王である私──イーリア・ジークフリートの、十八歳の成人を祝う宴が行われていた。
私の友人や家庭教師を始めとした多くの人々が、私が成人を迎える今日この日を祝う為に集まり、飲めや歌えやの大騒ぎをしていた。
顔を合わせれば口々に祝福の言葉を投げ掛けてくれる来客達に笑みを返しつつ、私は胸の中を覆うわだか...
2023-04-13 13:00:00 +0000 UTC
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いつも応援して下さっている皆様へ
いつも私、あいまりを応援して下さり誠にありがとうございます。
大変申し訳ないのですが、2023年1月一杯をもちまして、私あいまりは無期限の活動休止とさせて頂きます。
まず先に伝えておきたいのは、この活動休止は決して体調不良や誹謗中傷などの後ろ向きな理由ではないことと、かなり前から決まっていたということです。
個人情報の観点から詳細な...
2023-01-11 12:13:19 +0000 UTC
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「……時間通り、ね」
ギィ……と古びた音を立てて鉄の扉を開き、ゆっくりと部屋に入って来たユキに、部屋の中にいたサソリのような見た目の女怪人──スコルピオーネは、ニヤリと冷たい笑みを浮かべて言う。
くすんだ窓ガラスから差し込む月光に淡く照らされた室内で、壁際に置かれた古いソファに腰掛けるその姿にユキは息を呑むが……奴の足元で、両手を縛られて口には布で猿轡をされたサ...
2022-08-31 15:00:40 +0000 UTC
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「サクラの手掛かりは無し……か……」
赤城家の屋敷の一室にて、青野カイトは目を伏せながら重々しい声で呟いた。
彼の言葉に、赤城ヒロは「クソッ」と悔しそうに吐き捨てながら畳の床に拳を打ち付け、緑川シュンはギリッと強く歯ぎしりをしながら拳を強く握りしめる。
それを見た黄瀬サトルは小さく息を吐き、すぐにヘラッと笑って「まーまー」と声を発した。
「ンな焦んなくても、まだ...
2022-08-22 12:18:16 +0000 UTC
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<千原 律 視点>
「……もう、十分そうだね」
白と紺色の二色の螺旋が一杯に広がったノートパソコンの画面を、まるで食い入るように見つめる春井先生の姿を確認した僕は、そんな風に呟きながら彼女の頭から手を離した。
ずっと顔が動かないように押さえていた手を離したと言うのに、彼女がそれに反応することは無い。
彼女の邪魔をしないよう、そっと横から覗き込むようにして様子を伺っ...
2022-06-15 13:35:10 +0000 UTC
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「──……と、大体これくらいあれば問題無いですかね?」
「えぇ、大丈夫です。……ありがとうございます、春井先生」
ここは、三年生の自由登校期間を目前に控えた、とある高校の放課後の図書室。
一月末ということもあって、窓からはちらほらと雪が降っている様子も見えているが、暖房の効いた図書室は暖かく心地良い室温で保たれていた。
そんな穏やかな空間にて、私──春井静香が確...
2022-06-15 13:34:56 +0000 UTC
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街外れにある、廃ビルの一室。
当然電気など点くはずも無く、くすんだ窓ガラスから差し込む月光だけが室内を淡く照らしていた。
このビルは閉鎖されてからまだそこまで時間は経っていないようで、机や棚等の家具は散乱しているが埃等はあまり無く、廃ビルにしては比較的清潔な部類であると言える。
そんなビルの一室にて、壁際に放置されたソファに腰を下ろして佇む一人の女がいた。
...
2022-04-04 15:00:26 +0000 UTC
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「きゃぁぁあああッ!」
「ば、化け物だぁぁぁあッ!」
青く晴れ渡る空の下。数刻前まで平穏だった町に、人々の悲鳴が響き渡る。
突如として現れたカエルのような見た目の怪物は、そんな悲痛な声を嘲笑うかのように醜い高笑いを上げ、口から射出した長い舌で近くにあった看板を破壊した。
「ゲローガッ! もっと破壊の限りを尽くし、人々を恐怖のどん底に突き落としてやりなさいッ!」
...
2022-04-03 15:04:43 +0000 UTC
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これは父の処刑に激昂したイエラが革命軍を立ち上げ、帝国軍と後の歴史に残る二年強の戦争を起こす数ヶ月前のこと。
亡くなった二十七代目国王に代わって新たな王となったのは、先代国王の一人娘である、ルナ・ロワーレ・レボルシオンだった。
彼女は元々子供の出来にくい体質だった先代国王が苦労して産んだ愛娘だったこともあり、生まれた時から両親を始めとした周りの大人達に存分に甘...
2022-01-14 15:00:43 +0000 UTC
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「……ふぅ……大体、こんなものかな……?」
アインは安堵したような溜息とともにそう呟きつつ、指輪の催眠魔法を解除する。
指輪の光が収まってもイエラが正気に戻ることは無く、光を失い暗く淀んだ瞳で虚空を見つめながら、口を半開きにして涎を垂らしている。
焦点の合わない両目の前で軽く手を振り、彼女が完全に深い催眠状態に堕ちていることを確認したアインはホッと小さく息をつき...
2022-01-09 15:03:22 +0000 UTC
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昨日、ついに革命軍の副リーダーであるアインを帝国の奴隷として堕とすことに成功した。
ここまで来れば、多少派手に動いてリーダーのイエラに怪しまれたとしても、他の主力三人を使ってはぐらかすことが出来る。
もう、私が怪しまれる可能性はほとんど無くなったと言っても過言では無い。
しかし、だからと言って、油断出来る状況でも無い。
私が怪しまれる可能性が限りなく低くなっ...
2022-01-09 15:02:51 +0000 UTC
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「うわ、凄い人……」
駅前に群がる仮装集団を前にした大学生の私、狭間菜月は、ついそんな風に零した。
今日は十月三十一日。ハロウィンと呼ばれるこの日、この駅の周囲では毎年仮装した人々が集い、各々に散策したり写真を撮ったり買い物をしたりする一種の習わしのような行事が開催されている。
人ごみと目立つことが苦手な私が今までこの行事に参加することは無かったのだが、今日に限...
2021-10-30 15:02:32 +0000 UTC
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