お世話になっております、田原です。
今年一年、温かい応援コメント、ご支援いただきありがとうございました。
非常に更新励みにさせていただきました。
そして来年もすくすく元気に好き放題更新させていただこうと思います。
そして、この度FANBOX始めてから初の全体公開記事を書かせて頂いてます。
今回の全体公開記事は、来年一月からFANBOXの更新形態を少し変更させていただくため、...
2021-12-25 02:09:14 +0000 UTC
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クリスマスイブに普通にシフトとか馬鹿なのか?嫌がらせなのか?と思ったが、確かに俺は今日は予定もない。なんなら翔太もクリスマスのイベントがどうたらで出掛けてるから暇すらあった。
「人が少ないからどうだ、手当もつけるぞ」という店長の言葉に釣られ、人助けでもしておくかと出勤したまではいい。
結局妙に距離感の近いカップル客や明らかにそういうお仕事の方々相手に接客しつつ、...
2021-12-24 23:51:42 +0000 UTC
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「幸せ、ですか」
寮長室。
目の前のソファーに腰をかけたまま、志木村は「はい」と頷いた。
「君のことを知りたいと思いまして。君にとって幸福とはなんですか?」
「幸福……。俺は静かに、平和に過ごせるならそれで満足です。……すみません、こんなことしか言えなくて」
「大丈夫ですよ。それに、幸せの定義というのは人それぞれですし
裕斗が戻ってくるまでの間、志木村と二人きりに...
2021-12-19 15:06:45 +0000 UTC
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今思えば、我ながら不甲斐ない人生を過ごしてきたと思う。
周りと対立することを恐れ、流されに流されて十八年。何故こうなったかと思えば心当たりしかない、そんな人生だった。
「おい奎吾、ユウキ君の怪我見てやれ」
いつものようにあの人の部屋へと呼び出されたと思えばこれだ。ソファーにふんぞり返った阿賀松伊織の隣ではまともに服すら身に着けていない齋藤が眠っていた。目のやり...
2021-12-05 13:46:14 +0000 UTC
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芳川会長に監禁されてどれほどが経っただろうか。
生徒会室の仮眠室、その扉が開かれるのは定期的なトイレタイムと食事が運ばれるときくらいだった。ここ最近は会長も忙しいのかもしれない、灘や栫井、それからたまに十勝が遊びに来ては俺の相手をしてくれる。五味が会いに来てくれないのは厄介事に巻き込まれたくないからだろうか。
それでも十勝たちの話を聞く限り、「ちゃんとあいつの...
2021-11-29 11:00:00 +0000 UTC
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そっと扉を開いてみるものの、無駄だったようだ。談話室には人の気配すらない。
どうしようか、待ってたら誰か来るだろうか。なんて思いながら談話室の扉を閉めようとした矢先のことだった。
「あれ? 準一こんなところでなにしてんの?」
すぐ背後から聞こえてきた声に全身が凍り付く。そして寒気。恐る恐る振り返れば、猫目がちな大きな目が二つこちらを至近距離で見上げてくるではな...
2021-11-25 11:42:23 +0000 UTC
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前日譚【https://www.fanbox.cc/@t589423/posts/1961027】
前編【https://www.fanbox.cc/@t589423/posts/2887395】
「ナイト……ッ!」
咄嗟に声を上げてしまうが、それもすぐ観衆たちの声に掻き消された。放たれた魔獣をいとも容易く真っ二つに断ち切ったその剣士は、そのまま大剣を二頭目の魔獣の開いた口にねじ込んだ。降り注ぐ血に怯むこともなくただ淡々と始末する。 顔や背格好こそはあいつと瓜二つだったが、そこに...
2021-10-18 17:34:56 +0000 UTC
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前日譚【https://www.fanbox.cc/@t589423/posts/1961027】
勇者が――あいつが死んだ。
その腹に突き刺さった大剣の持ち主は分かりきっていた。
前衛の勇者とナイトがいなくなった今、パーティーは壊滅状態だ。そんな現状、早々に抜けると思っていたシーフもメイジも未だ俺の元に残っていた。
『俺は、勇者でもない。あいつの代わりになれないが、この旅をここで止めるつもりはない』
抜けたければ抜け...
2021-10-18 17:32:28 +0000 UTC
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「ッ、はぁ、ぁ……ッ」
「ゆう君」
「ん、む……ッ」
「口、開いて」
拒まないでくれ。そうハルちゃんの声には懇願の色が滲んでいた。
僕にはまだ、なんでこんなことをされているのかわからずにいた。ハルちゃんがうちで遊ぼうって言うので初めてハルちゃんの部屋に行って、それで、大きなマンションの一室まるまるハルちゃんの自室だというその部屋に感動するのも束の間。広く、僕たち以外...
2021-10-16 12:52:59 +0000 UTC
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樹海の天候は移ろいやすい。場所が場所ということもあるだろうが、それでもまあまあ晴れていると思いきや目を離した隙に土砂降りになっていることなんてしょっちゅうだ。
そんなとき、いままでだったら「また雨か」と流していたが今は違う。無意識にあの人の姿を探してしまうのだ。
土砂降りの中、一人あの墓場に佇む南波を見てしまったあの日から、今も。
心配性。お節介。余計なお世話...
2021-10-10 11:00:00 +0000 UTC
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この学園では、秋になると芸術の秋に託けてスケッチ大会というものが行われるようだ。
全学年全体で行われる学校行事であり、その日一日学園全体では至るところにそれぞれ筆を走らせる生徒たちがいた。
――そして、俺も例外ではない。
「ねえ、齋藤ちゃんと描いてる?」
「うん……あっ、待って動かないで……っ!」
「そんなに?……まあいいけど、俺の方もしっかり描けてるよ。これは過...
2021-10-03 00:49:26 +0000 UTC
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恋人というものが何なのか、まともに恋愛というものを経験したことがない俺にはわからなかった。
それでも相手のことを尊敬し、少しでも尽くしたいと思う気持ちは恋慕にも似てるのかもしれないと思う。
芳川会長と恋人になってどれほどが経ったのだろうか。最初はフリだったが、恋人同士として芳川会長と接するにつれ触れられることも多くなり、距離が近付くのは自然なことだった。
そう...
2021-09-26 11:00:00 +0000 UTC
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「古賀、お前って木江に付き纏われてんだって?」
サッカー部部室。部活終わり、二人きりになる機会があったので訪ねてみれば古賀は無言でこちらを睨む。誰から聞いた、という顔だ。
「あんだけ開き直られたら俺だって分かるっての」
「お前、友達ならこれ以上ストーカーはやめろって言っておけ」
「って言われてもな、そもそもあいつが俺の言うこと聞くわけねーじゃん?ま、諦めも肝心だって...
2021-09-19 08:36:04 +0000 UTC
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あの男が『今夜は部屋に近付くな』なんて大袈裟なことを言うから。何かをしてるのではないか、そんな好奇心に押し負けてしまった結果がこれだ。
宿屋四階の角部屋、孤立したメイジの部屋までやってきてその扉へと触れた瞬間、張られていた魔法陣が発動した。そして足元から生えてきた縄に胴体腕ごとぐるぐるに縛りあげられる。逃げる暇もなく、それどころか足を滑らせてしまいそのまま扉の前...
2021-09-12 11:50:03 +0000 UTC
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「ちょっと、なんでお前がここにいるわけ」
「お兄ちゃんに向かってお前って言い方はないだろ。なあ、そう思わないか? 齋藤」
「え、ええと……はは……」
この展開はなんなんだろうか。
今日は休みなので朝から出かけよう、そう志摩と約束をしたのが昨日。お陰様で朝から待ち伏せしていた志摩もやや機嫌はよく、このままなら今日来一日平和に過ごせるのではないだろうか。そんな淡い期待...
2021-09-07 11:42:45 +0000 UTC
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人間というものはどうやら自分で自分を追い詰めたがるくせがあるようだ。
「もう全部どうでもいい、めちゃくちゃにしてくれ」
クソ暑い夏の日の屋上。寝転がって全身に降り注ぐ日の光を浴びていると、ふと頭上から聞こえてきた声。視線を動かせば、視界の端からにゅっと声の持ち主が現れた。
「……っていう顔してんな、ハジメ」
太陽を背に岩片凪沙は笑う。分厚い瓶底眼鏡のレンズの下...
2021-08-29 10:50:06 +0000 UTC
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――翌朝。
眠りは浅く、日が登る前に目を覚ました俺はそのまま寝台を降りた。
気分は相変わらず憂鬱なままだった。
身体の方は大分楽になってるが、こんな気分ではあまり意味がない。
朝からこんな調子では駄目だと自分に喝を入れ、取り敢えず腹に何か詰め込もうかと食堂へと向かう。
こんな明け方だというのに食堂には灯りが点っている。そして聞こえてくるのは聞き覚えのある声だ...
2021-08-23 16:40:20 +0000 UTC
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青空より雨空、赤よりも黒、夏よりも秋が似合う男だと思っていた。
瞬きをした瞬間、ふらりと視界から消えてしまいそうなほどの不安定さに目を離すことができなかった。
だからこそ、その姿を見つけると心底ほっとする自分がいたのだ。
自室のベッドの上、シーツも着ずそのまま丸くなっているその姿を見て深く息を吐く。
前まではソファーで寝たり、酷いときは玄関先で力尽きて寝落ち...
2021-08-22 15:29:02 +0000 UTC
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人から虐げられることに慣れていた。逃げることばかりを覚えようとして、立ち向かうことすることすらなかった。
だから恐らくこれはツケだ。今まで俺が逃げていたツケが回ってきたのだ。
芳川会長から見捨てられ、阿賀松伊織は俺に利用価値がないと判断したようだ。今まで執拗に追いかけ回されたのが嘘のように阿賀松は俺から手を引いた。まるで最初からなにもなかったように、日常は戻っ...
2021-08-15 13:00:30 +0000 UTC
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「スレイヴ、これも頼む」
「ああ、そっちの袋も預かるぞ」
「いや、こっちは重いから俺が持つ」
「……」
クエスト帰り。
その途中の洞窟の中、街の人間に頼まれていた鉱石や魔石を採集しては雑用係である俺が預かるようにしていた。のにだ。
「おい、イロアス……」
「……っと、これで個数は足りてるな。よし、じゃあメイジ頼めるか」
「ああ、ギルドまで戻すぞ」
人が言葉を続けるより...
2021-08-08 12:47:07 +0000 UTC
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なぜ、こうなってるのだろうか。
「おいユウキ君、ちょっとこっち来い」
例の如く連れてこられた阿賀松の自室。
ソファーの上、ふんぞり返った阿賀松はやってきた俺を見るなりそんなことを言い出した。
この展開はまだ想定内だ。
「は、はい」と恐る恐る歩み寄り、ソファーの隣に腰を降ろせば再び阿賀松は「いいからこっち来い」とこちらを睨むのだ。
きたのに。いやまさか膝に乗れと...
2021-08-02 18:18:33 +0000 UTC
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幼い頃から自分のことが好きではなかった。
「……っ、ハルちゃん……待って……」
「大丈夫? ゆう君、もう息切れしてるの?」
「だ……だって、ハルちゃん……歩くの早いよ……」
「ごめん、一応歩幅合わせたつもりだったんだけど……はは、だよな。ゆう君の足じゃちょっとキツかったかな」
笑うハルちゃん。指摘されて頬が熱くなった。
確かにハルちゃんはクラスの中でも、他の同級生...
2021-07-21 12:22:54 +0000 UTC
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表向き芳川会長と付き合い出してどれほど経っただろうか。相変わらず周りからは腫れ物扱いされているが、それでも大分周りも俺もこの状況に慣れ始めていたようだ。
時間が経てばそれは当たり前のようになってくる。
昼間は芳川会長と生徒会室で過ごし、『それ』らしく接していた。けれど、それは表向きだ。スキャンダラスなことはなにもない。俺と芳川会長はただの先輩後輩でしかない。
...
2021-07-18 13:21:01 +0000 UTC
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学園内、指定された倉庫の中。腕時計を確認する。
そろそろ約束の時間のはずだ。
まだか、と思った矢先扉が開いた。そして、やつは現れる。
「お待たせ尾張、まさかお前の方から俺を呼んでくれるなんてな」
――五条祭、今回俺が待ち合わせしていた相手だ。
五条は音を立てないように扉を閉め、後ろ手に鍵を掛ける。
なるべくひと目につかない場所で会いたい、そう指定したのは俺だ...
2021-07-11 11:06:25 +0000 UTC
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パーティーメンバーから外され雑用係へと降格し、自分の時間が増えたことは間違いない。とはいえ、ただ怠けるつもりもなかった。
暇なときは資金稼ぎに軽いお使いクエストを熟す。微々たるものだが、それでも部屋に籠もって腐ってるよりかはましだ。それに自己研鑽にもなる。
その日も他の連中がクエストに出てる間、短時間で済みそうな薬草集めや木のみ集めをし、それらをギルド協会へと...
2021-07-03 11:54:50 +0000 UTC
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裕斗の部屋で過ごすようになってどれほど経っただろうか。裕斗がいない間は基本志木村が俺の側にいてくれて、最初はどうすればいいのか戸惑っていたが一緒にいる内に志木村といることにも慣れてきた……はずだ。
今日も夜遅く裕斗が戻ってくるまでいてくれた志木村は、裕斗が帰ってくるなり「それじゃあ僕はこれで」と部屋を出ていった。
志木村は俺と裕斗との関係も知ってる。だからこそ...
2021-06-22 15:31:48 +0000 UTC
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男に好意を持たれるのも、そういう目を向けられることも別に初めてではないけれどもだ。物事には許せる範囲と許容できない範囲のラインというものが存在してるはずだ。
靴箱を開いた俺はまずはその異臭に気づき、そして中に仕舞っていたままの上履きの有様を見て思わず「最悪だ」と口から漏れた。
横で上履きに履き替えていた岩片は「どうした?」とこちらを覗き込んでは一瞬で察したよう...
2021-05-29 11:31:10 +0000 UTC
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刑天閣のバイトにもそろそろなれ始めた頃だった。
常連客の妖怪たちとも話せるようになり、なんだかんだ毎日が充実していた。
「曜君いつも頑張ってるから一口あげるよ」と一人の妖怪に一杯ジュースを飲ませてもらって、特になにも考えずあざす!とそれを飲み干す。それは人間の俺にとっても飲みやすい美味しいフルーツジュースだった、美味しさのあまりについぐいっと一気飲みしてしまって...
2021-05-22 11:00:00 +0000 UTC
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なぜ、こんなことになってるのか。
「齋藤君、グラス空いてるね。ほらおかわり自由だよ、俺が注いであげるね」
「あ……ありがとうございます……」
「ちょっと、方人さん。それジュースじゃないですよね、今なんか変な薬入れませんでした?」
「はあ?入れてねえよ、試しに飲んでみるか?」
「絶対嫌だ、ねえ安久試し飲みしてよ」
「な、なんで僕が……!っていうかおい!志摩亮太!なんであん...
2021-05-11 11:11:56 +0000 UTC
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阿賀松伊織に逆らうな。
阿賀松伊織に媚を売れ。
阿賀松伊織の犬になれ。
阿賀松伊織に従えばどうにかなる。
その代わり――……。
「……ッ、つ、ぅ……」
激痛のあまり目を覚ました。寝返りを打つことすらもままならない現状、硬い床の上、起き上がる気にもなれなかった。それでもこうして目を覚ましたのはそろそろやつが来る時間だからだ。
そして、案の定扉が開いた。
「よぉ...
2021-05-07 11:30:00 +0000 UTC
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